クルーズ旅行には「船に乗り込む港(発着港)までの移動」が必ずセットで発生します。この移動部分に特典航空券(マイルと交換する航空券)を使うと、旅の総額を大きく圧縮できるため、マイルとクルーズはとても相性の良い組み合わせです。
横浜・神戸発着なら国内線、シンガポールや地中海発着なら長距離国際線と、発着港によって必要な航空券はまったく変わります。運賃が高くなる長距離区間ほど、マイルで取る価値が高まります。
一方でクルーズは「出港時刻に間に合わなければ置いていかれる」という時間的にシビアな旅です。前泊の確保、オープンジョー(出発地と帰着地を別の空港にする予約方法)の活用など、組み合わせならではのコツを押さえておきましょう。
なぜマイルとクルーズは相性がいいのか
クルーズ旅行の費用は、大きく「クルーズ運賃(乗船代金)」と「乗下船する港までの往復交通費」に分かれます。クルーズ運賃そのものは旅行会社やクルーズ会社に支払うもので、基本的にマイルやポイントで割り引くことはできません。しかし、港までの航空券は話が別です。ここは通常の旅行と同じように、JALやANAの特典航空券を充てることができます。
クルーズは日程が固定されているため、旅行の計画を早い段階で確定しやすいのも利点です。特典航空券は出発の約330日前から予約でき、早いほど席を押さえやすい傾向があります。「半年後の◯月◯日にバルセロナから乗船する」と決まっていれば、その日に合わせて逆算し、早めに特典航空券を確保するという動きが取りやすいのです。旅行日が直前まで決まらないタイプの旅より、はるかに計画的にマイルを使えます。
さらに、クルーズの発着港は「世界の主要都市」であることがほとんどです。バルセロナ、ローマ(チヴィタヴェッキア)、マイアミ、シンガポール、シドニーなど、いずれもJAL・ANAや提携航空会社が就航する、あるいは乗り継ぎで到達しやすい都市です。特典航空券が取りやすい路線とクルーズの拠点が重なっているため、「マイルで行ける場所から乗る」という発想が現実的に機能します。
クルーズの発着港タイプ別・必要になる航空券
ひとくちにクルーズと言っても、どこから乗るかで必要な航空券はまったく異なります。大きく3つのタイプに分けて考えると整理しやすくなります。
1. 日本発着クルーズ(横浜・神戸・博多など)
飛鳥Ⅱやダイヤモンド・プリンセス、MSCベリッシマなどが該当します。この場合は国内移動だけで済むため、必要なのは国内線特典航空券、あるいは新幹線・在来線です。国内線特典航空券は必要マイルが少なく(往復1万〜1.5万マイル程度が目安)、初心者でもハードルが低いのが魅力です。地方在住者が横浜発着クルーズに乗るときに羽田までをマイルで移動する、といった使い方が定番です。
2. アジア発着クルーズ(シンガポール・香港・台湾など)
日本から4〜7時間程度のフライトで到達できるエリアです。国際線特典航空券のなかでは必要マイルが比較的少なく、エコノミーの往復で3.5万マイル前後が一つの目安になります。シンガポール発着のクルーズは日程のバリエーションが豊富で、組み合わせ旅の入門先として人気があります。
3. 欧州・北米・オセアニア発着クルーズ
地中海クルーズ(バルセロナ、ローマ、ヴェネツィア発着)、カリブ海クルーズ(マイアミ、フォートローダーデール発着)、アラスカクルーズ(シアトル、バンクーバー発着)などです。ここは航空券の現金価格が往復20万〜40万円台になることも珍しくなく、マイルで取ったときの「1マイルあたりの価値」がもっとも高くなりやすいゾーンです。長距離だからこそ、ビジネスクラス特典航空券を狙う価値も出てきます。
特典航空券でクルーズ港へ向かう3つの基本パターン
クルーズと航空券を組み合わせるとき、予約の取り方にはいくつかの型があります。自分の旅程に合うものを選びましょう。
前泊を前提に「1日以上の余裕」を持たせる
これは組み合わせ旅の鉄則です。フライトが遅延・欠航しても船は待ってくれません。乗船日の前日、できれば前々日には発着港の都市に入る日程を組みます。たとえば土曜出港のバルセロナ発クルーズなら、木曜または金曜に現地入りする特典航空券を取り、1〜2泊してから乗船します。この前泊日数を旅の「バッファ(予備の時間)」と考えると安全です。
オープンジョーを活用する
クルーズには、乗船港と下船港が異なる「片道航路」も多くあります。たとえばバルセロナで乗ってローマで下りるコース。この場合、往路は日本→バルセロナ、復路はローマ→日本という予約になります。出発地と帰着地が違うこうした予約を「オープンジョー」と呼び、JAL・ANAの国際線特典航空券でも一定のルール内で設定できます。往復とも同じ都市で発着するより、旅の自由度が大きく広がります。
ストップオーバーで「途中の街」も楽しむ
ストップオーバー(途中降機)とは、乗り継ぎ地で24時間以上滞在することです。乗り継ぎ都市での宿泊をあえて組み込み、クルーズ前後に別の街の観光を足す発想です。ルールは航空会社やプログラムによって異なり、変更される場合もあるため、予約前に必ず公式サイトで最新の条件を確認してください。
JALとANA、特典航空券の使い分け
どちらのマイルを使うかは、貯めているプログラムと目的地の路線網で決まります。公開されているマイルチャートをもとにした一般的な目安を整理すると、次のようになります(時期や予約クラスにより変動します)。
| 項目 | JAL 国際線特典航空券 | ANA 国際線特典航空券 |
|---|---|---|
| 東南アジア往復(エコノミー・目安) | 約35,000マイル〜 | 35,000マイル(レギュラー期) |
| 欧州往復(エコノミー・目安) | 約52,000マイル〜 | 55,000マイル(レギュラー期) |
| 欧州往復(ビジネス・目安) | 約100,000マイル〜 | 90,000マイル(レギュラー期) |
| マイル有効期限 | 原則36カ月 | 原則36カ月 |
| シーズン区分 | 需要に応じた変動制の考え方あり | ローシーズン・レギュラー・ハイシーズンの3区分 |
| オープンジョー・乗り継ぎ | ルール内で設定可能 | ルール内で設定可能 |
ざっくり言えば、ANAは「レギュラー期なら欧州がやや割安」「必要マイルが時期で明確に3段階」という分かりやすさが特徴です。JALは「PLUS・セイバーといった座席の種類で必要マイルが変わる」仕組みで、空席状況次第でお得に取れることもあります。どちらも提携航空会社(ワンワールド/スターアライアンス)の便を使う特典もあり、その場合は必要マイルや発券ルールが変わります。詳細と最新のマイル数は、必ず各社公式サイトで確認してください。
クルーズ港への相性で見ると、地中海方面はどちらのアライアンスでも到達しやすく、カリブ海(マイアミ発着)は北米路線に強いプログラムが有利です。オセアニア(シドニー発着)はANA・JALとも直行便があり、比較的組みやすいエリアです。
組み合わせ旅で失敗しないための注意点
「片道だけマイル」が難しいケースがある
JAL・ANAとも、自社運航便の国際線特典航空券は原則として往復での発券が基本です。「行きだけマイル、帰りだけ現金」という組み方は、提携航空会社の特典を使う場合を除いて基本的にできません。予算配分を考えるときは「往復まるごとマイル」を前提にしましょう。
燃油サーカイズ(燃油サーチャージ)と税金は現金負担
特典航空券は「マイルで航空券本体が無料になる」だけで、燃油サーチャージや空港使用税などは別途現金で支払います。欧州往復だと数万円になることもあり、ここを見落とすと予算が狂います。ANAは提携航空会社によってサーチャージがかからない発券ができる場合もあるため、比較の余地があります。
クルーズ会社の「航空券手配サービス」との比較
多くのクルーズ会社は、乗船とセットで航空券を手配するプランを用意しています。乗り遅れ時のサポートが受けられる安心感がある一方、座席や便を細かく選びにくい面もあります。マイルで自分で取る場合は自由度が高い代わりに、遅延時は自己責任です。安心を取るか自由度を取るか、旅のスタイルで判断します。
旅行日程が動くリスク
特典航空券は変更・取り消しに手数料やマイル失効のリスクが伴います。クルーズ側の日程変更(悪天候による寄港地変更など)が起きても航空券は自動では変わりません。出発日・帰国日には最低でも1日、長距離なら2日の余裕を持たせておくことが、結果的に一番の保険になります。
マイルとクルーズを組み合わせたモデルプラン
イメージをつかむために、一般的な地中海クルーズを想定したモデルプランを挙げます(費用は時期・為替で変動するため、あくまで考え方の例です)。
7泊8日・バルセロナ発ローマ下船コース
- 1日目:ANAまたはJALの国際線特典航空券(エコノミー往復+オープンジョー設定)で日本を出発。乗り継ぎ1回でバルセロナ着。到着後は市内のホテルに前泊。
- 2日目:サグラダ・ファミリアやゴシック地区を観光し、体を現地時間に慣らす。フライトが遅れてもこの日のうちにリカバリーできる。
- 3日目:クルーズ乗船。以降はプロヴァンス、フィレンツェ(リヴォルノ寄港)、ナポリなどを船で巡る。
- 10日目:ローマ近郊のチヴィタヴェッキア港で下船。ローマ市内に移動して1泊し、コロッセオなどを観光。
- 11日目:ローマ発の復路便で帰国の途へ。
この場合、往復の国際線航空券は現金なら往復20万円以上になることもありますが、そこをエコノミー往復55,000マイル前後+諸税で組めれば、浮いた予算をクルーズの部屋のグレードアップや寄港地観光に回せます。ビジネスクラスの特典枠が取れれば、長距離移動の疲れを抑えて乗船初日から元気に過ごせるという価値もあります。
なお、クルーズの客室予約や寄港地の現地オプショナルツアー、前泊・後泊のホテルは、人気の日程だと早くに埋まります。航空券のマイル発券と並行して、乗船・宿泊・現地アクティビティの予約も早めに済ませておくと、旅全体がスムーズに進みます。
まとめ
- クルーズ運賃自体はマイルで割り引けないが、発着港までの往復航空券は特典航空券と相性が良い。
- 日本発着なら国内線特典で十分。アジア発着は必要マイルが少なく入門向き。欧州・北米・オセアニア発着はマイルの価値が最も高まるゾーン。
- 前泊で1〜2日のバッファを取り、片道航路にはオープンジョーを活用する。乗り遅れは取り返しがつかない。
- 燃油サーチャージ・諸税は現金負担、国際線特典は原則往復発券という前提を忘れない。
- JALとANAは目的地の路線網と貯めているマイルで選ぶ。最新の必要マイル数は必ず公式サイトで確認する。
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